子宮頸がん検診とは

20歳を過ぎたら2年に1回子宮頸がん検診
画像引用:MSD製薬

問診や視診のほかに、子宮頸部細胞診検査を行います。ブラシやヘラで子宮頸部の表面を擦って、子宮頸部の細胞を採取します。そのあとで内診や経腟超音波検査を行います。検査は短時間で、検査中に痛みを感じることは、ほとんどありません(器具が挿入されることで違和感を覚える方もいます)。採取した細胞のなかに子宮頸がんやその前がん病変 (異形成)の細胞がないかどうかを顕微鏡で詳細に調べます。細胞診の結果は後日お知らせいたします。担当医が必要と判断する場合には、子宮体がん検診を行うこともあります。

検査の結果、細胞診異常があればコルポスコープ(腟拡大鏡)で子宮頸部を観察して、病変が疑われる部位から子宮頸部の組織を一部採取します(生検)。細胞診異常の程度が軽微である場合は、このような精密検査が必要であるかを判断するために先にヒトパピローマウイルス(HPV)検査を行うこともあります。子宮頸部生検 (組織診) の結果、子宮頸がんと診断された場合はCTやMRIなどの画像検査や腫瘍マーカーなど、さらに詳しい検査が必要になります。

子宮頸がん検診の対象は、性交経験のある20歳以上の女性です。受診間隔は2年に1回です。無料で子宮がん検診が受けられる対象年齢の方には、無料クーポンが送付されます。詳細については、北区に住民票のある方は北区の公式サイトをご覧ください。

子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮の入り口である「子宮頸部」にできるがんです。腟から観察できる子宮頸部に発生するため、検診で発見しやすいがんといえます。がんになる前の「異形成(前がん病変)」と呼ばれる段階で治療すれば子宮を温存できるので、妊娠・出産も可能です。
子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こります。HPVは性交の経験がある人ならば、ほとんどの人が一生に一度は感染するといわれる、ごくありふれたウイルスです。HPVに感染しても、多くの場合、免疫によって自然に排除されます。ところが、排除されずに感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変ができ、数年以上かけて子宮頸がんに進行すると考えられています。
子宮頸がんになっても、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。進行するにつれて、不正出血や性交時の出血が起こります。おりものの量が増え、膿や血が混じったり、臭いが強くなったりするなど、おりものの異常が現れることもあります。かなり進行すると、下腹痛や腰痛のほか、尿や便に血が混じることがあります。こうした症状がみられたら、すぐに婦人科を受診してください。

子宮頸部前がん病変

子宮頸がんの前がん病変(がんになる前の状態)として、「子宮頸部異形成」というものがあります。異形成になってからも免疫によって排除されることが多いのですが、ごく一部の女性でがんを発症します。子宮頸部前がん病変は、軽度異形成 (CIN1)、中等度異形成 (CIN2)、高度異形成・上皮内がん (CIN3) の3つの段階に大きく分類されます。高度異形成以上は治療の対象となります。中等度異形成であっても、治療の対象となることがあります。前がん病変の段階では、不正出血やおりものなどの症状はなく、検診を受ける以外には診断できません。20~30歳代の方々に急増しているので、定期的に検診を受けることが大切です。

軽度異形成や中等度異形成の場合はすぐに手術などは行わず、経過観察するのが一般的です。半数以上が自然に消退するからです。高度異形成・上皮内がんの場合は、子宮頸部円錐切除術やレーザーによる蒸散術などの治療が必要となります。